このホームページを通して会員相互の交流が一層深まり、活動の場が広がることを願います。
★ヨーガ療法とは
こんにちは。ヨーガ療法士の加藤則子です。
今回は、ヨーガ療法がどんなところで使われているかをご紹介したいと思いますが、その前にヨーガ療法のことを少しお話しします。
ヨーガ療法は、その人の問題・悩み・症状の原因がどのような過程を経て起ってくるのかを、伝統的ヨーガやアーユルヴェーダの理論をもとに見立て、その人に適したヨーガ療法の技法を選択して提案する、いわばオーダーメイドのヨーガです。身体だけでなく心にも働きかけるもので、心身の健康をはじめ、人間関係の健やかさや自信、幸福感までも引き出すホリスティックな健康増進法です。
伝統的なヨーガでは、人間の心身構造を2つの仕方で説明しています。ひとつは、人間を5つの鞘に包まれた存在と考える「人間五蔵説」です。食物鞘・生気鞘・意思鞘・理智鞘・歓喜鞘の5つの鞘の調和がとれている状態を、真の健康な状態ととらえます。そして、もうひとつは、人間を10頭立ての馬車に例えた「人間馬車説」です。乗っている人を真我、車体を肉体、馬を感覚器官と運動器官、手綱を感情、馬を操縦する御者を知性(判断・思考)に例えて、その人の考え方や物事の受け取り方が、感情を通して呼吸や身体に影響する様を説明しています。
これらのことは、また別の機会に詳しくお話ししますが、ヨーガ療法の技法で心や身体に適度な刺激を与え、そこから生じる反応に意識を向けていきます。続けて行うことで、自身の身体の使い方や考え方のクセに気づき、自己理解を深めていきます。私の師匠である木村慧心先生はよく、「ヨーガは心理療法である」と表現しています。
★ヨーガ療法の活用
身体と心に働きかけることができるヨーガ療法によって、次のようなことが期待されます。
そして、これらが期待できるヨーガ療法は、次のようなところで活用されています。
私は、自分の教室でヨーガ療法を取り入れたレッスンをしています。中には、70~80歳代の方もいらっしゃいますが、身体の痛みが緩和され、動きやすくなったり姿勢がよくなったり、よく眠れるようになったりと嬉しい報告をいただいています。また、昔教員であったご縁によって学校関係者から依頼を受け、ヨーガの話と実習を行うこともあります。そこでは、ヨーガの智慧の中から、児童・生徒の生活に役立ちそうな話をしたり、瞑想・呼吸法・アーサナの実習をしたりしています。
そして、昨年の秋にはウクライナのキエフにて、チェルノブイリ原発被災者支援のためのヨーガ療法ボランティアに参加する機会をいただきました。
そこでは、被災者の皆さんが自分たちの運命を受け入れ、体調が悪くても明るく前向きに生活している様を見ました。そんな彼らの心身の健康のためにヨーガ療法が役立っていることを実感することができました。
次回は、ヨーガ療法の見立てにかかわってくる大切な部分である、伝統的ヨーガにおける人間の構造論についてお話しする予定です。