第46回:仙太郎の「月一餅」

 大丸京都店で和菓子の仙太郎が「月一餅」と名付けられた大福餅を売っていることを知ったのは、ちょうど1年前の7月1日でした。他の用事で通りかかり、列になっているのが不思議でしたが、気にも留めず用事をして戻ると、とっくに完売していました。こうなると気になるのが人情でして(わたしだけ?)何を売っていたのか、お店の人にたずねました。それは「月一餅」といって、毎月第一金曜日の午後1時から販売する月替わりの餅菓子ということでした。

 翌月は行けなかったので、9月の第一金曜日に行きました。一つ所用をすませてから行ったため、到着が12時40分。やはり出遅れたようでかなりの列でした。整理券を配っていて、個数制限はなく欲しいだけもらっているようでした。わたしの前の人が「予備の10個ですので、当たらないかもしれません」と言われました。列はわたしの次の人で打ち切られました。はらはらしながら、1時販売開始となりました。整理券を貰った人は2個、4個、4個を2つ、10個とかいろいろです。途中気が変わってもっと多く買う人もいます。当たりますようにと思いながら順番は進み、いよいよ、わたしの二人前の方の番が来て,「4個入りを2つ」と言ったところで終了となりました。その時です。当の上品なご婦人が「あら、では私4個でいいわ」と言って残り4個を次の方に譲ったのです。すると次の方はわたしに「2個譲るわ」まあ、なんていい人。こうなったら私も次の最後尾の方のために1個どうぞ、と言うのが当然の成り行きで、予備と言われた3人みなが有り付くことができたのです。後ろのご婦人は大喜びでした。その月は「芋大福」で、こしあんの上にさつま芋がごろんと乗って、軟らかい餅でくるんだ大福でした。2ヶ月越しの月一餅のお味は格別でした。

 「月一餅」は大丸京都店の工房で午前11時に「餅つき」をして作られます。江州(滋賀県)産の羽二重餅を搗き上げて、それぞれの月にふさわしい旬のものが月替わりで登場します。個数は400個とのこと。それほど多い数ではありません。始まりは18年位前、日頃のご愛顧に感謝して100円+税という手軽さで売られるようになったのだそうです。
 現在は大丸京都店のほかに、松阪屋名古屋店で「望月餅」と言って,毎月15日に販売されています。

 

 その後、わたしが購入できた「月一餅」は10月黒ごま大福--餅に黒ごまがびっしり、中は粒あん。12月みかん大福--餅にみかんを裏ごししたのを練り込んで、中は小豆こしあん。1月黒豆大福--餅に黒豆を入れ、中はこしあん。2月うぐいす大福--うぐいす餅を丸くしたもの,粒あん。6月玉露大福--餅に玉露をねり込み、あんも玉露あん。6回の中で一番美味しかったです。画像は今月の玉露大福しかありません。お餅はすぐに堅くなるので、帰宅後すぐに消費してしまったからです。
 7月は枝豆大福とのこと。まだ、6ヶ月分しか頂いていませんから、こうなったら全部制覇したくなるのが人情でしてこれからの宿題といたします。

【参考文献】

  • 仙太郎しおり「月一餅」

(2017.6.27 高25回 堀川佐江子記)