続編その13:人間の「驕り」「理想と現実」、来る「島村洋二郎展」など

幡鎌さち江(24回
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 しらはぎ会の皆様、お久しぶりでございます。
 2018年新しい年を迎え、希望に満ち溢れた良いニュースも有る中、異常気象、大雪、草津温泉近くの白根山の噴火……、また、世界規模での政治、経済の問題など………。もう一度、人間は驕りを棄てて、謙虚に、未来を考えていくことの大切さを痛感致します。

 丘 浅次郎は、明治37年3月、「人類の誇大狂」という、次のような一文を書いています。(※『進化と人生』開成館に収録)

 「およそ世の中を進歩せしめるには、理想ということはもとより大切であるが、理想にはできる理想とできぬ理想とがある。…実際に行われぬような理想ならば何の役にも立たぬ。自分で勝手に人間なるものを高く買いかぶり、実際の人間にはとうてい適せぬような高尚な理想の世界を想像し、現在の世の中がそのとおりになっておらぬといって憤るのは、憤るほうの無理であろう。石が下へ落ちるとか、水が低いほうへ流れるとか……というような経験に基づいた結論は、いつでもどこでもまず間違いはないが、人間が自分の悩中で勝手に考えたことは、もとより人間の悩中だけに限られてあって、……それゆえ、人間が如何に論じようとも柳は緑、花は紅でいっこう頓着(とんちゃく)はせぬ。宇宙における人類の真価を打ち忘れ、宇宙が自分の注文どおりなっていないとて、癇癪(かんしゃく)を起こしているのがいわゆる厭世家(えんせいか)の態度である。…」

 丘浅次郎は、人類の真の姿を直視することによって、一人一人の人間が真剣に「人類の未来」を考えることの大切さを述べています。
 今、世界の現状を直視すれば、安易な理想論に陥ることないよう、明治の先人に学ぶべきことがあるように思われます。

 さて、話は変り、拙稿「…続編その9、島村洋二郎…」について、さらなるイベント(※画像参照)が、来る2月10日(土)に関東で催されます。御興味のある方は、どうぞ。

 また、2月8日(木)、NHKテレビ「あさイチ」で、15代将軍・徳川慶喜の弟、江戸時代最後の大名家の邸宅「戸定邸」(※千葉県松戸市、国指定重要文化財、明治時代建造、水戸徳川家)が、放送されます。(※丘浅次郎の孫の従兄弟が戸定邸庭園の造園修復をされておられるとのことです。)

(続く)

【出典】

  • 丘浅次郎 著「進化と人生」  開成館明治39年